老入ホーム入居後の自宅をいつ売却するか
老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅などに入居し、その後自宅をすぐに売却するのか、それとも、そのまま空き家にしておくのかという問題がよくでてきます。
①自宅をすぐに売却する場合
空き家となった自宅をいますぐ売却する場合、空き家になった日から3年を経過する年の年末までに売却すれば、譲渡所得に対してマイホーム3,000万円控除の特例の適用を受けることができます。
②自宅を相続後に売却する場合
一方で、空き家を持ったまま相続を迎え、相続人がそれを売却する場合、相続時に小規模宅地の特例を適用できるとともに、相続時から3年経過する年の年末までに売却すれば、譲渡所得に対して相続空き家3,000万円控除の特例の適用を受けることができます。
小規模宅地特例の特例(特定居住用宅地として330㎡まで80%減額)とは、亡くなった人が自宅として使っていた土地を、配偶者か、亡くなった方と同居していた親族が相続した場合、土地の評価額を8割引きしてくれる特例です。この特例が使えるか否かで、支払う相続税が千万単位で変わることも多々あります。
被相続人の自宅の土地については、相続発生時に建物が空き家で被相続人が老人ホーム等に入居していた場合においても、小規模宅地等の特例の適用を受けることができる場合があります。
そして、相続空き家に耐震リフォームを施すか、取り壊して更地にしたうえで売却すれば、マイホームの場合と同様、3,000万円特別控除の適用を受けることができます。
小規模宅地等の特例の適用がポイント
どちらがよいのでしょうか。所得税と相続税の両方がからんでくるため、難しい判断となります。所得税については、いずれも3,000万円特別控除の特例の適用があります。それゆえ、これは小規模宅地等の特例の適用を受けることができるか否かが基準となるでしょう。
老人ホーム等に入居している場合における小規模宅地等の特例の適用には、相続発生時に母が要介護状態であるなど一定の要件を満たす場合に限られます。また、前提条件が異なると有利・不利の結果も異なります。税理士にご相談ください。
リバースモーゲージとは何か?
リバースモーゲージは、自宅(持ち家)を担保にして住み続けながら金融機関から融資を受けられる制度で、シニア層向けの融資方法です。死後は自宅を売却して、その代金を融資の一括返済に充てます。一般的な住宅ローンと異なり、リバースモーゲージは一括または毎月で借り入れを行い、最後(相続発生後)にまとめて返済します。
リバースモーゲージのメリット?
リバースモーゲージのメリットの一つは、自宅を売却する必要がないため、大切な住まいを手放すことなく融資を受けられることです。年金収入が少なく手元資金が不足している場合でも、リバースモーゲージを利用することで資金を手に入れることができます。
また、資金使途が自由で、生活資金以外にも旅行費用やリフォーム資金などにも利用できることがあります。老人ホームの入居一時金に充てることもできるでしょう。
そして、利用時の収入要件が住宅ローンなどよりも比較的緩やかで、年齢に応じた条件が適用されることです。55歳以上や60歳以上など、金融機関によって異なる利用年齢が設定されています。本人が生存中であれば返済義務がありません。利払いのみを行う場合もあります。これは、高齢の方でも安心して利用できる融資となります。
リバースモーゲージのデメリット?
リバースモーゲージのデメリットは、対象となる住宅に制限があることです。基本的には一戸建てが対象であり、マンションは対象外です。また、地域によっても制限がある場合があります。一括で返済する場合や毎月の返済を選択する場合など、リバースモーゲージの借り入れ方法は柔軟ですが、対象となる住宅に制約があることを理解しておく必要があります。
また、子どもなど推定相続人全員の同意が必要となることです。相続人の同意が得られない場合、リバースモーゲージを利用できません。将来の相続を考慮して慎重に対応することが重要です。
セール・アンド・リースバックとは?
セール・アンド・リースバックとは、自宅を不動産会社に売却し、その後に家賃を支払いながら同じ家に住み続け、将来的に買い戻す方法です。この方法は、一時的に資金が必要な人々によく選ばれるものです。
セール・アンド・リースバックのメリットは、手持ちの不動産資産を現金化できることです。一方で、住み続けたい場所で暮らすことができ、将来的に再びその不動産を所有することもできます。