【建築基準法】建築確認とは?
建物を建築(新築及び改築)するときは、建築主は、工事着工前に、原則として、建築主事(地方公共団体にいる建築を専門とする公務員)または指定確認検査機関に、建築物の計画が建築基準法等の関係規定等に適合しているかどうか、建築確認を受けなければいけません。違法建築物が建てられないようにするためです。建築確認が完了すると、「確認済証」の交付を受けることができます。
建物を新築する際に、建築確認が必要な建築物は以下のものです。これらに該当しなければ、建築確認は必要ありません。
対象エリア | 建築物 | 規模 |
都市計画区域、準都市計画区域 | すべて | |
全国どこでも
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共同住宅、ホテル、病院、店舗などの特殊建築物 | 床面積100㎡以上 |
木造の大規模建築物 | 階数3階以上、床面積500㎡超、高さ13m超、軒高9m超、いずれか | |
木造以外の大規模建築物
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階数2階以上、床面積200㎡超、いずれか |
建築確認が完了しますと、工事に着工することができます。その後、一定の工程を含む場合(特定工程)、建築主は、中間検査を受けなければいけません。
工事が完了しましたら、建築主は、完了日から4日以内に、建築主事に対して工事完了検査の申請を行わなければなりません。「検査済証」の交付を受けますと、建築物の使用を開始することができます。
【建築基準法】建物の用途が規制される?
用途地域ごとに、建築できる建築物の用途が制限されています。これは住居系の環境保護、商業系・工業系などの業務の利便性向上を図るための規制です。
第1種低層住居専用地域 | 低層住宅の良好な環境を守るための地域です。絶対高さ制限(高さが10mもしくは12m)があるため、マンションも建てられますが、3階建てくらいまでとなります。
店舗兼住宅、事務所兼住宅、小・中学校や診療所、600㎡以内の老人福祉センターや児童厚生施設等は建築可能ですが、店舗や飲食店は建てることができません。 主に、庭や駐車場がとれるゆったりとした敷地の戸建てエリアの街並み、いわゆる閑静な住宅街です。 |
第2種低層住居専用地域 | 低層住宅の良好な環境を守るための地域です。高さ制限(高さが10mもしくは12m)があるため、マンションも建てられますが3階建てくらいまでとなります。
第1種低層住居専用地に建築可能なものに加えて、床面積150㎡以内で2階建以下の店舗、飲食店、コンビニなどが建てられます。 主に、庭や駐車場がとれるゆったりとした敷地の戸建てエリアに、日常のお買い物が便利な住宅街です。 |
第1種中高層住居専用地域 | 中高層住宅の良好な環境を守るための地域です。低層住居専用地域に建てることのできる用途に加え、病院や大学、高等専門学校、専修学校等を建てることができます。
業種によって2階以下で床面積500㎡以下の店舗や飲食店、スーパー・マーケットも建てることができます。また300㎡までの自動車駐車場を建てられるためコインパーキングも認められます。 日常の買い物がしやすい商業施設は充実しますが、あくまでも住居専用地域のためオフィスビルは建てられません。 容積率などの制限は緩くなり、マンションを中心とした中高層住宅地に、アパート、2階・3階建の戸建、店舗が混在した活気のある住宅地になります。 |
田園住居地域 | 農業の利便の推進を図りつつ、良好な低層住宅の環境を保護する地域です。田畑と市街地の共存を図ることを目的としています。
田園住居地域では、住居・マンションのほか、学校、診療所、小規模の店舗や飲食店といった生活に必要な最低限の建築物を建築することができます。しかし、大規模の飲食店やスーパー、パチンコ、ホテル、工場といったものは制限されます。そのため、幹線道路や大規模な建物が立ち並ぶ都市部からすると、田園と低層住居に加え、最低限の生活に必要な設備が整っているような地域ということになります。 |
第2種中高層住居専用地域 | 主として中高層住宅の良好な環境を守るための地域です。第1種中高層住居専用地域に建てることのできる用途に加え、2階以下で1,500㎡までの飲食店や店舗、事務所などの施設を建てることができます。
ある程度の快適な住環境を維持しつつ、利便性が高い施設が建てられる地域です。事務所も建てられますので、職場と住居が近くなります。 |
第1種住居地域 | 住居の環境を保護するための地域です。3,000㎡までの店舗や事務所、ホテル、旅館や、ゴルフ練習場などスポーツ施設も建てることができます。
また、作業場の床面積が50㎡以下の工場なども建てられますが、基本的には住居主体の地域なので、パチンコ屋、カラオケ・ボックス等の建築が原則として禁止されています。 指定面積が最も広いため、大規模なマンションや店舗、事務所を建てることができる地域です。 |
第2種住居地域 | 住居の環境をある程度保護するための地域です。大規模な店舗、事務所、ホテルなどを建てることができます。加えて、パチンコ店、カラオケ・ボックス等も建てることができます。
基本的に住居の環境を保護するために定める地域なので、周辺の環境に配慮して計画する必要があります。 |
準住居地域 | 道路の沿道としての地域特性に相応しく、自動車関連施設などの立地と、これと調和した住居環境を保護するための地域です。
3階以上または床面積30㎡より大きな自動車車庫、床面積200㎡より小さな営業用倉庫なども認められる地域です。住居系用途地域の中では、最も許容範囲が広い地域です。 |
近隣商業地域 | 近隣住宅地の住民に対する日用品の供給を行うことを主たる内容とする商業地域です。店舗やスーパーマーケット、商店街が形成されることもあり、やや賑やかな環境になります。店舗、飲食店、遊技場などの床面積合計10,000㎡までの施設も建てることができます。
日常生活の利便性は高くなりますが、住宅や店舗のほかに150㎡までの工場も建てることができる地域なので、周辺の環境に配慮して計画する必要があります。 |
商業地域 | 主として店舗、事務所、商業などの利便を増進するための地域です。市街地の中心部や主要駅周辺などに指定され、オフィスビルが立ち並び、銀行・飲食店・百貨店などが集まります。住宅は建てることができますが、基本的には住環境が重視されることのない地域です。
一定の工場などを除いて、ほとんどの用途の建築物を建てることができるため、周辺の環境や隣接地の建築計画などには特に注意しなければなりません。相対的に地価が高くなるため、新築一戸建て住宅が建てられることは少ないようですが、中高層マンションや超高層マンションが、数多く建設されています。 |
準工業地域 | 主として環境の悪化をもたらすおそれのない工業の利便を増進するため定める地域です。
この地域では、工場の規模についての規制はありませんが、住宅や店舗が工場と混在して立地することが多いため、振動や騒音の発生、火災の危険性等の観点から一定の業種の建築が原則として禁止されています。 商業地域と並んで用途の幅が広く、ほとんどの建築物を建てることができます。 一定の風俗営業店及び、安全上・防火上の危険性や、衛生上・健康上の有害度が高く環境悪化をもたらす恐れのある工場は建てることができません。 マンションの供給も比較的多い地域で、昔からの町工場と混在している例も少なくありません。 |
工業地域 | 基本的に工業の業務の利便の増進を図る地域です。工場については公害の発生のおそれが大きい業種も含めて建築できることとされています。
住宅や店舗も建てることができますが、病院、ホテルなどは建てられません。工場跡地の再開発などで大規模なマンションや戸建て住宅の分譲地とされることもあります。 環境を悪化させる工場や危険性の高い施設も建てることができ、トラックの交通量なども多いため、周辺環境には十分な注意が必要です。 |
工業専用地域 | 工業の業務の利便の増進を図る地域です。工場については公害の発生のおそれが大きい業種も含めて建築できることとされています。
工業地としての土地活用を妨げるような用途の建築が原則禁止されていますので、住宅や店舗、病院、ホテルなどは建てることができません。 |
【建築基準法】42条の道路に接しなければ建築できない?
建築物の敷地は、原則として、建築基準法上の道路(4m以上)に2m以上接していなければならりません。これを「接道義務」といいます。それゆえ、建築基準法上の道路とは何かが問題となります。
建築基準法上の道路は、幅員4mを基準として定義されており、幅員4m以上の42条1項道路と、幅員4m未満の42条2項道路があります。
42条2項道路は、幅員4m未満ではありますが、建築基準法施行時に存在していた道路です。これに接する土地に建物を建築する場合、道路中心線から2mを空けなければなりません。これを「セットバック」といいます。セットバック部分は道路と見なされるので、その部分に建物を建築することはできません。また、セットバック部分は、建ぺい率・容積率の計算の基礎となる敷地面積に含めることもできません。
【建築基準法】建ぺい率とは?
建ぺい率制限とは、敷地いっぱいに建築物を建築することが、防火上又は住環境の観点から望ましくないために設けられる制限です。建ぺい率とは、建築面積の敷地面積に対する割合をいい、50%から80%の範囲内で用途地域ごとにその割合が定められています。
ただし、建ぺい率の緩和措置があり、建ぺい率80%の地域内と地域外においてその規制が異なっています。
建ぺい率が80%の地域外において、①防火地域内に耐火建築物を建築する場合、②特定行政庁が指定した角地である場合は、建ぺい率が10%緩和され、さらに①と②の両方を満たす場合は20%緩和されます。
これに対して、建ぺい率80%の地域内において、防火地域内に耐火建築物を建築する場合は、建ぺい率の制限が適用除外となります(つまり100%となります。)。
なお、建築物の敷地が建ぺい率の異なる2以上の地域にまたがる場合は、各地域の建ぺい率を加重平均して建ぺい率を計算します。また、建築物の敷地が防火地域の内外にわたる場合、その敷地内の建築物の全部が防火地域の制限を受け、その建築物が耐火建築物であるときは、その敷地はすべて防火地域にあるものとみなされます。
【建築基準法】容積率とは?
採光、通風等の市街地環境の確保や建築物と道路等の公共施設とのバランスを確保することを目的として、容積率制限が設けられています。容積率とは、延べ面積(床面積の合計)の敷地面積に対する割合をいい、50%から1,300%の範囲内で用途地域ごとに定められています。
前面道路の幅員が12m未満の場合、次の①と②のうち小さい方が容積率の限度となります。ただし、前面道路が2以上あるときは、その幅員の最大のものを採用すします。
① 都市計画で定められる容積率
② 道路の幅員 × 【法定定数:10分の4または10分の6】 |
【法定定数】 住居系の用途地域:10分の4 非住居系の用途地域、用途地域の指定のない区域:10分の6 |
たとえば、第二種低層住居専用地域内で、容積率200%と定められた地区内の土地で、前面道路の幅員が4mである場合は、その土地の容積率は160%となります。法定定数を乗じた160%のほうが、都市計画で定められる200%よりも小さいからです。
また、敷地の前面道路の幅員が6m以上12m未満である場合、その前面道路が敷地から70m以内の距離で幅員15m以上の特定道路に接している場合、敷地から特定道路までの距離に応じて容積率の割増しが受けられます。
【建築基準法】防火地域・準防火地域とは?
都市の中心市街地や主要駅前、主要幹線道路沿いなど、大規模な商業施設や多くの建物が密集し、火災などが起これば大惨事になりかねない地域では、建物の構造を厳しく制限して防災機能を高めることが求められます。このような地域で指定されるのが「防火地域」であり、建物は、耐火建築物(鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造などの建築物)としなければなりません。
ただし、地階を含む階数が2以下で、かつ、延面積が100㎡以下の建築物は準耐火建築物とすることができます。
したがって、防火地域では、階数3以上又は延面積100㎡超の建築物は、必ず耐火建築物としなければいけません。
また、防火地域の外側で、比較的広範囲に「準防火地域」が指定されるケースがあります。
準防火地域の規制は防火地域よりも緩やかで、地階を除く階数が4以上、または延面積が1,500平方メートルを超える建築物は耐火建築物としなければなりませんが、延面積が500平方メートル以下であれば、一般的な木造2階建てや木造3階建ても建てることができます。
つまり、準防火地域では、階数4以上又は延面積1,500㎡超の建築物は、必ず耐火建築物としなければいけません。