スモールM&Aの注意点、メリットとデメリットは?

スモールM&A

スモールM&Aはここ最近でますます需要が高まり、この先伸びていくことが予想されます。しかし、スモールM&Aのメリットとデメリットを知っておくことや、スモールM&Aを成功させるためには、スモールM&A仲介業者など専門家に依頼するなども必要となるでしょう。スモールM&Aを成功できるように、信頼できる専門家を頼るのがおすすめです。

目次

スモールM&Aとは何か?

 スモールM&Aとは、スモールビジネス(小規模事業)を対象とするM&A(企業の合併および買収)のことを言います。スモールビジネスの定義は広くいろいろなものがあるので、決まった定義はありません。ですが、基本的にスモールM&Aは、中小企業や個人事業主などで売上が数百万円~3億円未満、事業の譲渡価格が数百万円~数千万円または1億円未満で取引される案件のことをいいます。

そのために、従業員数が1人~30人ほどの小規模で事業を営んでいる会社などが、スモールM&Aに該当するのです。よって、大手企業ではなく、売上高がまだ少ない企業を買収するのがスモールM&Aだと考えてください。

スモールM&Aを成功させるための注意点

 スモールM&Aが活発となりこれから先増えていくことが予想されますが、スモールM&Aを成功させるには、いくつかのポイントがあります。

スモールM&A を成功させるためにしなければならないことは、対象となる事業の事前調査です。

デュー・ディリジェンスをしっかりと

第一に、会社に出向き詳細に現地調査することです。外から見ただけではわからないため、社内風土、経営者との相性や従業員のモチベーションを維持するなどが重要となります。

第二に、公認会計士や弁護士によるデューデリジェンスの徹底になります。理由は、スモールM&Aの成功に欠かせないためです。デューデリジェンスの徹底をしなければ、事業引き継ぎ後に想定外の問題が起こることが考えられます。

第三に、許認可や権利を確認することです。事業を引き継ぐ方法により許認可を取り直す必要がありますし、従業員や取引先との契約をし直す必要もあるため、許認可や権利を確認をすることが大切になります。許認可を取得していないことが原因で事業が始められないことも考えられるため、許認可の取得条件、取得期間をしっかりと確認して、事前に申請しておく国のがベストです。

専門家への相談を

そして、M&Aの専門家への相談が必要です。M&A仲介業者でもいいですし、片側助言のM&Aアドバイザーでもいいでしょう。スモールM&Aを行う際、コスト削減のために仲介業者にお願いせず直接取引を行うケースもあります。しかし、それによって交渉が長引くこともありますし、M&A後に予想していなかったトラブルが起こる可能性もあるのです。甘く見てコスト負担を削減しようとせず、M&A仲介業者やM&Aアドバイザーへの相談も大切になります。

スモールM&A案件の探し方

スモールM&Aの探し方としては、さまざまな方法があります。自分で見つける、M&A仲介業者、事業引継ぎ支援センター、金融機関を通じて探す方法の4つがあります。

自ら対象事業を見つける

第一に、自ら直接相手を見つけることです。めぼしい企業、事業を見つけた場合は真っ先に動き、直接交渉に持ち込みます。しかし、直接交渉の注意点として、M&Aの専門家がいなければ難しいという点です。そのため、価格の交渉やお互い納得のできる取引となるよう、専門家に依頼するのが良いでしょう。

M&A仲介業者から情報を入手する

第二に、M&A仲介業者へ相談することです。近年は中小企業のM&Aの仲介、コンサルティングを行っている専門業者が増えているため、M&A仲介業者が取り扱っている案件がホームページに掲載されていることがあります。そのため、まずは問い合わせてみてください。

事業引継ぎ支援センターから情報を入手する

 第三には、事業引継ぎ支援センターへ依頼することです。事業引継ぎ支援センターは各都道府県に設置されているので、M&A助言の経験者であったり、M&A案件や、仲介会社を紹介するサービスも行っています。また、無料相談にも対応していることもあり、とても便利です。

金融機関から情報を入手する

 第四に、銀行など金融機関に相談することです。取引歴の多い銀行に依頼することで、M&Aを探してくれることがあります。また、行員自身がM&Aアドバイザー養成講座を受講している銀行も増えているため、相談に乗ってもらえるかもしれません。提携しているM&A専門家を紹介してくれるケースもあり、金融機関に相談してみる価値があるでしょう。

スモールM&Aのメリットとデメリット

スモールM&Aのメリットとして、売り手と買い手の両者に以下のような利益をもたらします。

スモールM&Aのメリット

売り手の場合、会社を売却することで利益を得ることができるため、もし赤字を抱えている場合の場合、その補填ができます。さらに、事業を引き継ぎの際の後継者が確保でき、自社で働いている従業員の雇用も保証されるのです。

これに対して、買い手側は、売り手企業が持っている設備、技術、そしてノウハウを入手できるのがメリットとなります。しかも、売り手側の従業員でスキルのある人材がいれば、採用、育成などの手間を省くことができるのです。また、自社にない事業を買収した場合だと、新規事業でそれを戦略にして利益を得ることも期待できます。同じような事業に携わっている企業だとしても、自社の市場シェア拡大が見込めるでしょう。

スモールM&Aのデメリット

ただし、スモールM&Aにはデメリットもあります。それは、売り手と買い手側で大きく考え方や事業方針が違うため、そこを埋めることが大変だということです。それによって従業員のモチベーションの低下がもたらされることがあります。そのため、事業方針を統一できるようなPMI(M&A実行後の統合手続き)を実施できるように、公認会計士などの専門家に依頼して間に入ってもらうことも必要となるでしょう。

スモールM&Aを支援する専門家・資格者は誰か?

 スモールM&Aの支援者には、小規模M&Aを得意とするM&A仲介業者やM&Aアドバイザー、マッチング・プラットフォームの2種類があります。

小規模M&Aを扱う仲介業者やアドバイザー

M&A仲介業者としてお勧めなのは、株式会社経営承継支援です。全国の事業引継ぎ支援センターをの連携により、比較的小規模な案件を数多く取り扱っています。

M&Aアドバイザーとしてお勧めなのは、事業承継コンサルティング株式会社です。東京都中小企業診断士協会のメンバーを中心に構成され、中小企業の経営者に寄り添った経営コンサルティングを提供しています。M&A実行するかどうか悩んでいるときの相談役として最適でしょう。

マッチング・プラットフォーム

日本M&Aセンターが運営するバトンズと、独立系のトランビがお勧めです。

バトンズは、多くの案件が登録されている国内最大級のマッチング・プラットフォームです。売却案件は、2020年12月において2千件以上、買収ニーズは4万件以上となっています。また、約1千人の専門家も登録されており、一般的なM&A仲介業者の手数料の10分の1程度の格安な手数料で支援してもらうことができます。大きな情報力と安い手数料、高いコスト・パフォーマンスのサービスだといえるでしょう。

また、トランビ(TRANBI)も同様に国内最大級のマッチング・プラットフォームといえるでしょう。2011年に運営開始された比較的古いサービスです。飲食店の売買から、医療法人、Webサイト売買まで、非常に幅広い案件が掲載されています。売り手の利用料は無料、買い手は成約手数料のみというシンプルな料金体系となっています。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

公認会計士/税理士/宅地建物取引士/中小企業診断士/行政書士/一級ファイナンシャル・プランニング技能士/国際公認投資アナリスト(日本証券アナリスト協会認定)
平成28年経済産業省「事業承継ガイドライン委員会」委員、令和2年度日本公認会計士協会中小企業施策研究調査会「事業承継支援専門部会」委員、東京都中小企業診断士協会「事業承継支援研究会」代表幹事。
一橋大学大学院修了。監査法人にて会計監査及び財務デュー・ディリジェンス業務に従事。その後、三菱UFJ銀行ウェルスマネジメント・コンサルティング部、みずほ証券投資銀行部門、メリルリンチ日本証券プリンシパル・インベストメント部門に在籍し、中小企業の事業承継から上場企業のM&Aまで、100件を超える事業承継のアドバイスを行った。現在は税理士として相続税申告を行っている。

目次