【相続相談事例】仲がいいと姉はいうが。妹は爆発寸前。温度差には神経を。

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ある姉妹の相続

Aさん(50代・女性)の母親は90歳。自宅で元気に生活をされています。
Aさんは母親の自宅の敷地に家を建てて住んでおり、養子縁組をしているAさんの娘が母親の家に住んでいます。嫁いだ姉は別のところで生活をしていますが、母親の自宅の土地が広いので、姉の息子家族が住む家を建ててもらい、住んでいます。よって、母親名義の土地には、母親と養子が住む家と、姉の息子が住む家と、Aさん夫婦が住む家の3棟が建っています。
母親が亡くなったあとは、姉とAさんで敷地を半分にして、分ける約束になっています。

母親はもう1ヶ所、駐車場にしている150坪の土地があり、そこも姉と二人で分ける約束ですが、いつのまにやら、姉は角地80坪、Aさんは残り70坪という前提になっています。

母親の相続対策をしないといけないので、Aさんがひとりで来られましたが、お聞きすると姉と意見が食い違うことがあるとのこと。
なぜかというと、これからのことを考えると更地の駐車場が重荷になるため、姉妹で相談をして駐車場は売ることにし、母親の理解も得ていました。ところが姉が反対をしたため、中断しているといいます。
Aさんの立場は母親の敷地に住んでいるので、いままで何かと言えば両親のために動いてきました。父親の介護はしてきましたし、これからの母親の介護も当然のようにAが担うことになります。

姉にも分担してもらいたいのですが、一時間程度のところに住んでいることもあり、まったくと言っていいほど協力はしてくれません。
それなのに、姉は当たり前のように「財産は等分」といい、駐車場に関しては角地80坪、中70坪となればと等分どころか、姉6割、Aさん4割となります。

爆発寸前の気持ち

姉は周りの人には「姉妹の仲がいいので揉め事はない」と言っていますが、Aさんの気持ちは「いままでずっと姉のいうとおりに合わせてきたので、
母親が亡くなったら距離をおきたい」というくらい、切羽詰っています。

ご提案したのは、感情的にこじらせないためには、Aさんが単独で動かずいまから姉と情報を共有して一緒に行動した上で、母親の了解のもとに対策をしたほうがよいということです。そして、一緒にセミナーに来てもらうよう、お勧めしましたところ、次の機会に姉を誘って一緒に来手頂くことになりました。
姉を無視して計画をしてしまうとうまくいきませんので、一緒にがキーワードです。いいこと、必要なことでも、普段からの力関係を無視してしまうと進みません。母親が主役。姉の立場も尊重しながら円満に対策を進めることが大切です。

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この記事を書いた人

公認会計士/税理士/宅地建物取引士/中小企業診断士/行政書士/一級ファイナンシャル・プランニング技能士/国際公認投資アナリスト(日本証券アナリスト協会認定)
平成28年経済産業省「事業承継ガイドライン委員会」委員、令和2年度日本公認会計士協会中小企業施策研究調査会「事業承継支援専門部会」委員、東京都中小企業診断士協会「事業承継支援研究会」代表幹事。
一橋大学大学院修了。監査法人にて会計監査及び財務デュー・ディリジェンス業務に従事。その後、三菱UFJ銀行ウェルスマネジメント・コンサルティング部、みずほ証券投資銀行部門、メリルリンチ日本証券プリンシパル・インベストメント部門に在籍し、中小企業の事業承継から上場企業のM&Aまで、100件を超える事業承継のアドバイスを行った。現在は税理士として相続税申告を行っている。

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