【相続相談事例】父親の土地を使用貸借。命があるうちに担保提供してもらいたい。

【相続相談事例】父親の土地を使用貸借。命があるうちに担保提供してもらいたい。

急な相続発生の危機

Aさん(30代女性)は、ずっと実家住まいで、現在は結婚して夫と二人暮らしをしています。
父親が買って家族5人で住んでいましたが、二人の弟が独立し、両親も母親側の祖父母の介護をするため、転居してしまったので、Aさんが一人となりました。その後、Aさんが結婚することになり、父親の了解も得て、Aさんの実家で、結婚生活をスタートすることになったのでした。

しかし、父親が建てた家はAさんが生まれる前からのもので、築40年ほど経っていますので、設備も古く、間取りなども使い勝手がいいとはいえません。そこで家を建て直すことにしたのですが、両親は戻る予定がないということで、土地を父親から借りて、Aさんの夫が銀行から融資を受けて建てようという計画になりました。
父親も快く承諾をしてくれて、担保提供をしてくれることになりました。二人の弟には、母親が相続する祖父母の土地や父親の預貯金を分けるようにすることで、家族の了解も得られています。そうして建築が始まり、完成する時期も決まり、融資の手続きをするめども経ち、引渡しの日程も決まりつつありました。

ところが、ちょうどその頃、父親が体調を崩し、検査の結果は重篤な病で余命3ヶ月と宣告されたのです。
すぐに入院、治療が始まりましたので、薬の影響もあり、体調がすぐれない様子でいつ、急なことにもなりかねないと心配になり、相談に来られました。

病室でも遺言書は作成できる

Aさんは、父親が亡くなってしまうと融資が受けられないかもしれないので、すぐに自分の名義になるように贈与してもらうほうがいいのかと考えたようです。
しかし、贈与では贈与税の特例によって、贈与税は課税されない部分はあっても、不動産取得税や登録免許税がかかるため、相続のほうが負担が少ないとアドバイスしました。

まずは、父親の体調のいいときを見計らって、担保提供の手続きをします。そして、土地は「Aさんに相続させる」という内容の公正証書遺言を作成し、相続になっても分割協議がまとまらないなどの不安を解消することを提案しました。
父親は入院中ですが、公証人と私ども証人の三名が病室に出向き、公正証書遺言の作成を行いました。余命宣告されているとはいえ、父親はとてもしっかりされていて、問題なく公正証書遺言は完成したのでした。
追って、銀行の手続きも済ませることができ、Aさんの不安は解消しました。父親も自分の役目を果たされたことで安堵され、穏やかな表情をされていました。戸籍謄本などの書類を揃えていただくのに時間がかかりましたが、半月ほどで手続きが終えられて、相談に来られてよかったと思う次第です。

余命宣告をされても、意思が明確であれば遺言書は作成できます。病室に出向いて作ることができますので、ご相談ください。

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