【相続相談事例】父親の自宅はどこ?特例が使えるか、否かで納税額が変わる!

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小規模宅地の特例をめぐるトラブル

Aさんの父親は今年亡くなり、相続税の申告の準備中です。母親は先に亡くなっており、相続人はAさんと弟の2人です。

父親は以前より賃貸経営をしていましたので、毎年確定申告をしています。そんなつながりから、相続税の申告もいつもの税理士に依頼しました。

父親の財産は賃貸併用の自宅と弟が住む家とアパート、3カ所の不動産と預金です。賃貸併用の自宅にAさん家族が同居してきました。賃貸併用の自宅の土地がいちばん路線が高いため、居住用の小規模宅地等の特例が適用できれば相続税はかかりません。Aさんも弟もそのつもりで安心していました。
ところが税理士から、特例が使えないので、納税が必要になると言われたのです。困って、相談に来られました。

聞いてみると、特例が使えないという理由がありました。父親は80代半ばで、介護が必要になりましたが、共働きのAさん夫婦は介護する余裕がなく、しかも、同居親族がいれば、介護が受けにくい状態です。
そこで、父親の妹の家に住民票を移し、実際は、通いながら、介護サービスを受けていました。

また、その頃、築50年を過ぎた自宅を建て直すことになり、賃貸住宅併用の二世帯住宅を父親名義で建てました。
しかし、完成した頃、父親の介護度が上がり、一時的に有料老人ホームへ入居してはいましたが、体調が戻れば、自宅へ戻るつもりでいました。ところが、風邪から肺炎を併発して、老人ホームにて亡くなってしまったのです。

住民票は戻してありましたが、新築した自宅に一度も住まないまま亡くなったため、税理士は、小規模宅地等の特例は使えないというのです。

味方となる税理士を

調べてみると、この税理士の説明は間違っておらず、要件だけを見ると適用できないというのが回答のようです。
しかし、それでは、たまたま介護のために家を離れていたために相続税の負担が出るのは理不尽かもしれません。
そこで、業務提携先の相続専門の税理士法人に確認したところ、
・新築された自宅に父親の部屋が準備されていること、
・実際に自宅に戻る準備が整っていたこと
を主張すれば、認められる可能性はあるということの回答が得られました。

Aさんはこうした回答が得られた事で少しほっとされ、小規模宅地等の特例を適用する方向で申告をしていくようにしたいということでした。特例の要件はありますが、税務署に交渉していこうという税理士法人の見解はお客様の立場にとっては心強いところです。自分たちの味方になってくれる専門家選びをお勧め致します。

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この記事を書いた人

公認会計士/税理士/宅地建物取引士/中小企業診断士/行政書士/一級ファイナンシャル・プランニング技能士/国際公認投資アナリスト(日本証券アナリスト協会認定)
平成28年経済産業省「事業承継ガイドライン委員会」委員、令和2年度日本公認会計士協会中小企業施策研究調査会「事業承継支援専門部会」委員、東京都中小企業診断士協会「事業承継支援研究会」代表幹事。
一橋大学大学院修了。監査法人にて会計監査及び財務デュー・ディリジェンス業務に従事。その後、三菱UFJ銀行ウェルスマネジメント・コンサルティング部、みずほ証券投資銀行部門、メリルリンチ日本証券プリンシパル・インベストメント部門に在籍し、中小企業の事業承継から上場企業のM&Aまで、100件を超える事業承継のアドバイスを行った。現在は税理士として相続税申告を行っている。

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