【相続相談事例】測量しておかないと間に合わない。済ませておけば余裕ができる。

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土地の測量をしておかなかったTさん

Tさんの両親はともに80代になり、相続のことが不安で相談に来られました。Tさんは妻と2人の子どもと両親と同居しており、姉は結婚して父親名義の土地に家を建てて住んでいます。

相談のきっかけとなったのは、姉が二世帯住宅を建てることを検討しており、父親に相談したことから、相続のことも考えないといけないとなりました。

父親が祖父からから相続した土地は、自宅が900坪、別の土地が500坪あり、土地持ち資産家と言えます。土地の概算評価をしてみると約6億円となり、相続税は約1億8000万円となり、土地を売却しないと納税できません。

それよりも課題となるのは、土地の利用の仕方です。土地の面積は広いのですが、自宅も、別の土地も、半分が貸宅地で、借地人が家を建てて住んでいます。

自宅敷地の中には、私道を通しており、隣地に通り抜けができる道路なのですが、土地は、一体となったままで、私道の分筆もしていませんし、貸宅地の部分もまったく分筆されていません。

以前からこうした状況が気になってはいましたので、二年ほど前、出入りの土地家屋調査士に相談したところ、「いま、測っておいても、相続になったらやり直しになるため、慌てて測らないほうがいい」という説明で、止められたのです。

ポイントは早期の測量

しかし、Tさんの父親の土地は、広い事、借地人が利用している事、宅地の中に私道を通している事、などから、分筆するにも関係者が多く、境界確認に時間がかかることが想定されます。

納税のために売却するなら、貸宅地を第一候補とするには、貸宅地を個々に分筆しない事には進みません。

また、自宅、貸宅地、駐車場、私道、姉の家など、利用区分によって評価をするためにも、個々の面積や地形や道路状況を確認する必要があります。

貸宅地の売却が進まない場合は、駐車場を売却することも考える必要があり、さらには今からできる節税対策の検討も必要でしょう。

どの場合を考えても、測量して、分筆までしておく必要がある土地だとアドバイスをし、早めに決断をされることをお勧めしました。

土地の売却をするには、測量をして、隣地と境界確認をしますが、思いの外時間がかかります。

今から測量、境界確認を済ませておけば、相続になったときに早くスタートできるため、気持ちに余裕がもてるはずです。

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この記事を書いた人

公認会計士/税理士/宅地建物取引士/中小企業診断士/行政書士/一級ファイナンシャル・プランニング技能士/国際公認投資アナリスト(日本証券アナリスト協会認定)
平成28年経済産業省「事業承継ガイドライン委員会」委員、令和2年度日本公認会計士協会中小企業施策研究調査会「事業承継支援専門部会」委員、東京都中小企業診断士協会「事業承継支援研究会」代表幹事。
一橋大学大学院修了。監査法人にて会計監査及び財務デュー・ディリジェンス業務に従事。その後、三菱UFJ銀行ウェルスマネジメント・コンサルティング部、みずほ証券投資銀行部門、メリルリンチ日本証券プリンシパル・インベストメント部門に在籍し、中小企業の事業承継から上場企業のM&Aまで、100件を超える事業承継のアドバイスを行った。現在は税理士として相続税申告を行っている。

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