【相続相談事例】長女VS母+弟妹。責めたい気持ちを押さえて、ぐっと我慢

相続は大きなお金も関係しますし、これまでの人間関係のこともあるので、どうしても感情的になってしまいそうになることがあります。しかし、相手を責めるようなことはしてはいけません。

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遺言書の無い相続で悩むAさんの場合

Aさん(60代・男性)は今年の1月に父親(80代)が亡くなり、母親(80代)ときょうだい(長女・長男・次女)3人で相続をすることになりました。

父親は遺言書を残しませんでしたので、分割協議をしなければなりませんが、長女が暴走気味だと相談に来られました。

父親は先代から相続した土地を活かして貸し店舗とアパートを建て、賃貸事業を行ってきました。自宅は同じ敷地の裏にあります。

長男のAさんは同居をしておらず、長女、次女も嫁いで、両親は2人暮らしをしてきましたが、自宅が古くなって建て替えるとき、夫を亡くしていた長女と孫が一緒のほうが安心だと、二世帯住宅を建てました。建物の名義は父親が70%、長女30%です。

数年前、父親が骨折して車イスになってからは自宅で生活する事が困難になり、そのときに、両親とも介護付きの高齢者住宅に住むようになりました。

そうなると長女は、両親が住んでいた1階についても、別玄関ですので、賃貸して家賃を自分で受け取るようになりました。

その上、貸し店舗とアパートについても自分で家賃を預かると言いだし、Aさんが管理をするようになりました。

父親が亡くなったとき長女は「同じ敷地に住んで管理を担ってきた自分が全部の不動産を相続するのは当然」と発言して、あまりに自分中心なので、母親もAさんも怒り心頭です。

感情的になら無いように

父親の財産の額は1億3000万円程度で、母親が相続すれば納税は不要ですが、家賃収入に固執する長女が納得しないことは目に見えています。

母親は長女よりも次女のほうがかわいいらしく、長女が住む家は次女にあげたいという始末。このままでは、更に対立してしまうかもしれません。

そこで、今回は家賃にこだわる長女に配慮した分割とし、長女が住む家と駐車場を分筆してあげてしまうことを提案しました。

今後、長女と一緒に意思決定がしにくいと思われるため、切り離す提案をしました。残りを母親が相続し、相続税を節税した上で、公正証書遺言にてAさんと次女が相続できるようにしてもらうストーリーてす。

対立する相手の主張を受け容れて、ほどよい分割案になるような配慮が必要です。責めたい気持ちはぐっと我慢して、歩み寄れる気持ちを引き出したいところです。

相手を許し難いという気持ちが優先しても、ぐっと我慢することが必要でしょう。責めてしまうと火に油。責めたら負け、だということになります。

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この記事を書いた人

公認会計士/税理士/宅地建物取引士/中小企業診断士/行政書士/一級ファイナンシャル・プランニング技能士/国際公認投資アナリスト(日本証券アナリスト協会認定)
平成28年経済産業省「事業承継ガイドライン委員会」委員、令和2年度日本公認会計士協会中小企業施策研究調査会「事業承継支援専門部会」委員、東京都中小企業診断士協会「事業承継支援研究会」代表幹事。
一橋大学大学院修了。監査法人にて会計監査及び財務デュー・ディリジェンス業務に従事。その後、三菱UFJ銀行ウェルスマネジメント・コンサルティング部、みずほ証券投資銀行部門、メリルリンチ日本証券プリンシパル・インベストメント部門に在籍し、中小企業の事業承継から上場企業のM&Aまで、100件を超える事業承継のアドバイスを行った。現在は税理士として相続税申告を行っている。

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