【相続相談事例】助け合う姉妹は理想形?姉妹でも別という決断が必要。

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助け合う姉妹

Aさんの父親は80代半ば。数年前、くも膜下出血を起こしてから半身付随となり、施設に入所しています。
Aさんは3人きょうだいの一番下で、兄と姉がいます。兄は父親の土地を借りてクリニックを開業しており、その土地を相続することは
全員が合意をしています。姉とAさんは独身で、二人とも実家を離れて仕事中心の生活をしてきましたが、Aさんは最近の姉の行動に不信感を持つようになりました。

もとはといえば、7年前に母親が亡くなったときのことが原因だといえます。
母親には、祖父から相続した賃貸マンションがあり、父親名義の実家や兄が使うクリニックの土地よりも立地のいいところにあり、評価が高いのです。母親が亡くなった時、相続の手続きは、父親が中心に行いましたが、なぜか姉に有利な形になり、一番価値のある賃貸マンションの土地は、父親ではなく、姉が相続しました。
Aさんは、実家から離れたところにある土地を相続していますが、行ったこともないところで、現在も空き地のままにしてあります。現在の住まいからも遠く、将来、家を建てて住むという展望もありません。
姉が相続した賃貸マンションの評価額は、Aさんが相続した土地の10倍以上で、毎月家賃も入りましが、Aさんの土地は収入がないだけでなく、固定資産税と草刈代が出費となります。同じ姉妹なのに、これだけの違いがあると、あとから知ったのでした。

また、姉は最近、毎週のように父親の施設に通い詰めていることがわかり、母親の相続のように、姉に画策されるのではないかと、相談に来られました。父親の通帳などの重要書類は空き家となっている実家にはなく、おそらく姉が保管していると思われるため、今から、銀行口座やクレジットカードの状況を確認する方法があるか知りたいということでした。
父親は年齢的なところから、認知気味であり、印鑑カードや保険証なども姉が管理をしていて、いちばん近くに住む兄にも預けていません。本来は長男で、一番近くに住む兄が、公平な立場で財産管理をすれば収まるところでしょうが、仕事が忙しく、こうしたことには消極的で、積極的な姉に任せたほうが楽という態度で、頼りにできません。

いちばん許せないのは、いいとこどりをしている姉なのに、妹とは仲がよくて何の問題もないと親戚など周辺に言っていることで、まったくAさんの心情を汲んでいる様子はありません。

姉妹でも別人

そこでアドバイスしたことは、すぐにでも、これからのサポート体制や財産内容をきょうだいで確認し、共有しておくことをお勧めしました。生前ですので、本人か本人の委任状により、取引の確認をしておくようにします。

さらに、もめないために、母親のときの遺産分割も含めて公平な遺産分割案を作り、父親に公正証書遺言を作ってもらうことが望ましいと言えます。この対策がうまく進まない場合は、財産管理を主目的とするため、父親に後見人を立てることも検討するようにアドバイスしました。

助け合うことが姉妹の理想形なのに、現実は、いちばん酷な現状を突きつけて谷底に落としているのだと感じます。まだ数十年はあると思われる人生ですので、賢く対処し、争わずに自分を守るため姉妹でも別、という立ち位置を確保するような決断が必要でしょう。
きょうだいとは争いたくないのが人情ながら、不満や不信感を抱えて、何十年も仲良くできないのも事実。自分が納得できるところで決断したいですね。

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この記事を書いた人

公認会計士/税理士/宅地建物取引士/中小企業診断士/行政書士/一級ファイナンシャル・プランニング技能士/国際公認投資アナリスト(日本証券アナリスト協会認定)
平成28年経済産業省「事業承継ガイドライン委員会」委員、令和2年度日本公認会計士協会中小企業施策研究調査会「事業承継支援専門部会」委員、東京都中小企業診断士協会「事業承継支援研究会」代表幹事。
一橋大学大学院修了。監査法人にて会計監査及び財務デュー・ディリジェンス業務に従事。その後、三菱UFJ銀行ウェルスマネジメント・コンサルティング部、みずほ証券投資銀行部門、メリルリンチ日本証券プリンシパル・インベストメント部門に在籍し、中小企業の事業承継から上場企業のM&Aまで、100件を超える事業承継のアドバイスを行った。現在は税理士として相続税申告を行っている。

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