意外と気付かない!不動産には税金がこれだけかかる!

資産家の方々は、資産運用の対象の一つとして不動産投資を行っています。今回は、不動産に対して課される税金を取得・所有・売却に分けて説明いたします。

目次

不動産を取得するときの税金

不動産を取得するときの税金として、一つは、不動産取得税があります。これは、土地や建物の所有権を取得した際に都道府県から課税される税金です。売買したとき、交換したときはもちろん、増築、改築も含めて建築したとき、贈与されたときも課されます。ただし、相続や合併の場合には課されません。

課税標準は固定資産税評価額ですが、2022年現在、宅地の課税標準は2分の1に減額されています。また、税率は原則4%ですが、住宅用の家屋と土地は3%に軽減されています。

また、登録免許税が課されます。これは、登記を受ける場合に課される国税です。マンションや建売住宅を購入した場合は所有権移転登記を行い、建物を新築した場合は所有権保存登記を行います。新築住宅の所有権保存登記の税率は、1,000分の4、中古住宅の所有権移転登記の税率は、1,000分の20です。ただし、床面積50㎡以上の居住用家屋には、税率が軽減される特例があります。

さらに、消費税が課されます。建物の譲渡代金や建築請負代金に課税されますが、土地の譲渡代金には課税されません。税率は、消費税7.8%、地方消費税2.2%の合計10%となっています。

不動産を所有して賃貸するときの税金

不動産を所有しているときに課される税金は、固定資産税と都市計画税です。固定資産税とは、土地、家屋および償却資産などの固定資産について、市町村から課される税金です。納税義務者は、毎年1月1日現在において、土地、家屋の所有する人です。標準的な税率はl.4%となっています。

一方の都市計画税とは、都市計画事業または土地区画整理事業に係る費用に充てるため、市街化区域内の土地や家屋に対して市町村から課される税金です。納税義務者は、毎年1月1日現在において、市街化区域内の土地や家屋を所有する人です。税率は市町村によって異なりますが、0.3%に制限されています。

次に、不動産を賃貸しているときに課される税金は所得税と住民税です。所得税と住民税は不動産所得に対して課されます。すなわち、不動産を賃貸したときの家賃や地代などの収入金額から必要経費を差し引いた金額が不動産所得で、これに税率を乗じて課税されます。ここでは、土地や建物を5棟10室などの事業的規模で貸付けている場合は、青色事業専従者給与や事業専従者控除の特典を受けることができます。

なお、住宅を貸付けたときの家賃や土地を貸付けたときの地代には、消費税は課されません。

不動産を売却するときの税金

土地や建物を譲渡したときの譲渡所得は、所有期間に応じて、長期と短期に区別されます。長期譲渡所得とは、譲渡した年の1月1日現在で、土地・建物の所有期間が5年を超えるものです。これに対して、短期譲渡所得とは、譲渡した年の1月1日現在で、土地・建物の所有期間が5年以下のものです。

長期譲渡所得に係る税率は15.315%です。住民税5%と合わせて20.315%となります。これに対して、短期譲渡所得に係る税率は30.63%です。住民税9%と合わせて39.63%となります。

マイホームを売却したときには、税負担を軽減する特例の適用を受けることができます。

有名なものは、3,000万円特別控除の特例です。これはマイホームを譲渡したときは、その売却益から3,000万円を控除して譲渡所得を計算することができる特例です。この特例を適用するための要件は、居住用財産であること、譲渡の相手方が親族でないこと、前年または前々年に3,000万円特別控除特例の適用を受けていないこと、今年・前年・前々年に居住用財産の買換特例の適用を受けていないことです。

または10超所有の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率特例もあります。これは、譲渡した年の1月1日現在での所有期間が10年超の居住用財産を譲渡した場合で、かつ3,000万円特別控除の特例の要件を満たしている場合、税率が軽減される特例です。すなわち、譲渡所得6,000万円以下の部分は、所得税10.21%、住民税4%に軽減されます。

さらに、特定居住用財産の買換え特例があります。これは、居住用財産を譲渡して、一定期間内に他の居住用財産に買換えた場合、譲渡所得に対する課税の全部または一部が繰り延べられる特例です。3,000万円特別控除特例が、税金を免除する特例であるのに対して、この買換特例は、課税すべき所得を将来に繰り延べるというものです。将来、買換え資産を売却したときは、その繰り延べられた所得に対する税金を支払うことになります。

居住用財産の買換特例の適用を受ける場合、譲渡資産、買換資産、それぞれ一定の要件を満たさなければなりません。譲渡資産の要件は、所有期間が、譲渡日の属する年の1月1日時点で10年を超える居住用財産であること、譲渡者の居住期間が10年以上であること、譲渡対価の額が1億円以下であることです。一方の買換資産の要件は、譲渡した年の前年1月1日から譲渡した年の12月31日までに買換資産である居住用財産を取得すること、一定期限までに居住すること、買換資産となる土地の面積が500㎡以下、家屋の床面積が50㎡以上であることです。

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この記事を書いた人

公認会計士/税理士/宅地建物取引士/中小企業診断士/行政書士/一級ファイナンシャル・プランニング技能士/国際公認投資アナリスト(日本証券アナリスト協会認定)
平成28年経済産業省「事業承継ガイドライン委員会」委員、令和2年度日本公認会計士協会中小企業施策研究調査会「事業承継支援専門部会」委員、東京都中小企業診断士協会「事業承継支援研究会」代表幹事。
一橋大学大学院修了。監査法人にて会計監査及び財務デュー・ディリジェンス業務に従事。その後、三菱UFJ銀行ウェルスマネジメント・コンサルティング部、みずほ証券投資銀行部門、メリルリンチ日本証券プリンシパル・インベストメント部門に在籍し、中小企業の事業承継から上場企業のM&Aまで、100件を超える事業承継のアドバイスを行った。現在は税理士として相続税申告を行っている。

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