【相続相談事例】納税資金問題、現金は建て替え資金で相続税には使えないという場合

相続税の納税は原則現金になりますので、納税資金をどう用意するのかというのは頭の痛い問題です。

ただ納税資金を用意する他に、不動産をうまく活用し相続税額自体を下げるという選択肢もあるので、時には思い切った決断が必要な場合もあります。

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法人名義の不動産の相続税に悩むAさん

Aさん(50代女性)は、母親(80代)と共有名義で購入したマンションで二人暮らしをしています。工務店を経営していた父親は15年前に亡くなりました。

自宅は父親の時代に4階のビルに建て替え、1,2階は店舗に貸しています。3,4階が自宅でしたが、父親が亡くなったあと、1人暮らしになった母親は骨折したことから、歩く事が困難になり、3階まで自力で上がることが大変になり、Aさんとマンションで生活をするようになりました。

Aさんには妹がいますが、嫁いで離れたところに住んでいますので、母親の介護はAさんが引き受けています。

母親にはもう1カ所の不動産があり、以前は父親が資材置き場や倉庫にしていたところで、現在は賃貸しています。

建物2棟は法人名義になっています。テナントビルが築40年と古くなっており、建て替えを考えたいことと相続税がどれくらいかかるかが不安になり、相談に来られました。

不動産の他に、現金7000万円、生命保険3000万円、法人への貸付金3500万円、合わせて2億5000万円の財産となりました。

相続税を計算すると5000万円となり、預金で払える額ですが、相続税のために残してきた預金がなくなることになります。また、建物が2棟とも法人名義だということも節税効果がでない要因です。

形を変える決断を

アドバイスしたのは、テナントをお母さんの建物に建て替えましょうということでした。定番ながら、確実な節税になり、空室も解消できます。

ところが、母親の年齢などを考えると、急な相続になることもあり、決断できないというのです。

時間をかけずにできる対策とすれば、預金を解約し、オーナーチェンジの区分マンションを購入することで評価は3割以下になります。しかし、これも、預金はビルの建て替え費用だから使えないと。

養子縁組や債権解消もお勧めしましたが、やはり不動産の対策が効果的。効果を高めるには形を替える決断が必要です。

現状のままでは、節税効果も期待できず、収益もあがりません。形を替えて対策しようと言う意識改革が必要でしょう。

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この記事を書いた人

公認会計士/税理士/宅地建物取引士/中小企業診断士/行政書士/一級ファイナンシャル・プランニング技能士/国際公認投資アナリスト(日本証券アナリスト協会認定)
平成28年経済産業省「事業承継ガイドライン委員会」委員、令和2年度日本公認会計士協会中小企業施策研究調査会「事業承継支援専門部会」委員、東京都中小企業診断士協会「事業承継支援研究会」代表幹事。
一橋大学大学院修了。監査法人にて会計監査及び財務デュー・ディリジェンス業務に従事。その後、三菱UFJ銀行ウェルスマネジメント・コンサルティング部、みずほ証券投資銀行部門、メリルリンチ日本証券プリンシパル・インベストメント部門に在籍し、中小企業の事業承継から上場企業のM&Aまで、100件を超える事業承継のアドバイスを行った。現在は税理士として相続税申告を行っている。

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