不動産を買うときは完全に理解しなさい!不動産売買契約書の記載事項

不動産を買うときは完全に理解しなさい!不動産売買契約書の記載事項

不動産売買契約書の内容はしっかりと確認しよう

不動産売買契約書の内容をしっかり理解しておかないと、後日紛争が生じるおそれがあります。書面に記載されている内容を正確に理解し、トラブル発生を防ぎましょう。契約締結前に、それまで相手方と打ち合わせしてきた事項が正しく契約書に記載されているか、契約書の内容を正確に確認することが必要です。

不動産売買契約書の記載事項(37条書面)

(1)当事者の氏名・住所

これは重要事項説明書には記載されていませんので、ここで確認します。

(2)土地・建物を特定するために必要な表示

これは重要事項説明書には記載されていませんので、所在地、地番、種類、構造などを記載します。

登記簿、建物図面、測量図などと、実際に現地の状況などをあわせて確認して、売買の対象となる土地・建物を明確に特定します。

土地については、登記簿、測量図に基づく記録と実際の利用範囲に違いはないか、建物についても登記簿、建物図面どおりの建物であるかについて確認します。

また、付帯物についても庭木、庭石、エアコン、じゅうたん、照明器具、物置等を売買対象に含めるのか否かも、確定しておきます。

さらに、マンションの駐車場や、近隣で契約している駐車場の使用する権利を引き継ぐことができるのかについても、必要に応じて確認しておいたほうがよいでしょう。

面積については、公簿取引と実測取引の2種類があるため、確認しておかなければいけません。

「公簿取引」とは、登記簿や測量図などの記録をもとに価格を決定して行う取引であり、実際の面積がその記録と異なっていても価格の清算を行いません。マンションや、大手不動産会社の分譲地などでは、公簿上の面積と実際の面積が通常一致するため、公簿取引が行われるケースが多いようです。

「実測取引」とは、土地家屋調査士等に依頼して実際に測量を行いその面積で価格を決定して行う取引です。契約締結時に、実測面積が確定しなければ概算面積とそれに基づく売買価格で売買契約を締結しますが、その後、引渡しまでの間に、土地家屋調査士に依頼して隣地、道路等との境界を確定し、実測面積を算出することによって売買代金の修正を行います。

(3)既存の建物の構造耐力上主要な部分の状況

これは重要事項説明書には記載されていません。

(4)代金、支払時期と支払方法

売買代金の総額、手付金、内入金、残代金の額およびその支払時期についても、明確に取り決めておきます。決められた時期にその金額の支払いができないと、違約金の問題が生じることになります。また、建物に消費税が課税されることもあるため、消費税を含んだ金額なのか否かも確認しておきます。

手付金は、売買契約の際に、買主から売主へ支払われる金銭です。民法では、手付金は解約手付として推定され、相手方が契約履行に着手するまでは、買主は交付した手付金を放棄して、売主は手付金の「倍額」を返還して、契約を解除することができます。手付放棄による解除の場合は、損害賠償の請求はできません

(5)土地建物の引渡し時期

物件の所有権がいつ移転するか、明確に定め、契約書に記載しておきます。税金面では、所有権の移転日をもって取得の日とすることができ、その日から所有期間の計算が始まることになります。

(6)所有権移転登記申請の時期

不動産の買主は、その物件の引渡しを受け、かつ、買主名義への所有権移転登記が完了してはじめて、その不動産を確実に取得したことになります。このため、これらの時期についても契約で定めておかなければなりません。

その不動産に売主の抵当権が設定されている場合、その抵当権の抹消についても取り決めておくことが必要です。

(7)代金以外の金銭授受があればその金額、時期と目的

これは重要事項説明書にも記載されています。手付金など様々な金銭の授受があるため、その名称と金額および目的を明確化しておきます。

(8)契約解除の定め

これは重要事項説明書にも記載されています。契約を解除することができる場合、その手続きと解除の効果を記載しておきます。

(9)損害賠償額の予定または違約金に関する定め

これは重要事項説明書にも記載されています。損害賠償額の予定や違約金を定めるか否かを記載しておきます。

(10)融資の斡旋があるときは、融資が成立しないときの措置

特約条項によっては一度締結した契約が後になって解除されることも起こりえるため、特約付契約を締結する場合は注意が必要です。実務でよく見られる特約条項は「停止条件」です。不動産売買契約に停止条件が盛り込まれている場合は、その条件が成就しない限り売買契約の効力は発生しません。

たとえば、建物建築条件付の土地を購入する契約は、その土地の購入者が建物発注者となり、建物建築の請負契約が締結されたときに、その効力が発生するというものです。

また、解除条件付契約が締結されるケースも多く見られます。これは、一定の事実が生じた場合に契約の効力が消滅する契約のことをです。つまり、解除条件が成就しない場合、売買契約が無効となります。

代表的なものは、「ローン特約」と「買換え特約」です。「ローン特約」とは、買主が支払うべき売買代金について、銀行からの融資の不成立が確定したときは、その売買契約の効力が失われるというものです。

一方、「買換え特約」とは、買主が別の不動産の売却代金をその不動産の購入代金に充当する場合、売却の不成立が確定したときは、その売買契約の効力が失われるというものです。

解除条件付特約条項のある売買契約書は、その契約が締結されても、解除条件が成就すると契約日にさかのぼって効力が失われることとなります。

(11)天災などの損害の危険負担

たとえば、戸建住宅の売買契約を締結し、その引渡しの前に建物が近隣の火事の影響で焼失してしまった場合、売主は契約どおり買主に建物の引渡しをすることができなくなります。このような危険をどちらが負担するかというのが危険負担の問題です。

民法では、買主が売買代金全額を支払い、建物が焼失した敷地を引き取るよう規定しています。しかし、これでは、取引の公平性から問題があるため、一般的に、特約で危険負担は売主が負い、修復可能で売主の負担で修復できるときは契約を継続し、修復不可能の場合や修復に多大な費用を要する場合は契約を解除するように定められています。

(12)瑕疵担保責任と保証保険契約

売買した不動産に、取引時に発見できなかった隠れた瑕疵があった場合に、売主はそのような隠れた瑕疵があったことを知らなかった場合でも、その責任を負わなければなりません。

瑕疵には、土地や建物そのものの欠陥以外にも、都市計画道路に決定されていて建物を建築することができないというような法律的な欠陥も含まれます。このような瑕疵の存在を知らなかった買主は、売主に損害賠償を請求することができます。また、これが原因で契約の目的を達することができないときは、契約を解除することができます。

この点、民法では、買主がこれらの権利を行使することができるのは、瑕疵を知ったときから1 年以内と規定します。しかし、瑕疵担保責任は、特約によって、売主の責任を免除したり、内容を変更したりすることができます。

ただし、住宅の品質確保の促進等に関する法律に基づく新築住宅の請負および売買契約に関する瑕疵担保制度では、住宅を新築する請負契約及び新築住宅の売買契約において、請負人・売主は、住宅の構造耐力上主要な部分(柱、梁、床、屋根等)については、引渡しの時から10年間の瑕疵担保責任を負うことが義務付けられています。

(13)租税公課の負担

固定資産税等の税金を売主・買主のどちらが負担するのか記載しておきます。

売買契約にあたっての注意事項

その他、いくつか注意すべき不動産売買契約として、以下のものがあります。

まず、代理人と契約を締結するケースです。代理人と契約する場合は、その代理人に代理権が確実に与えられているか、その行為が代理権の範囲を超えていないかを確認することが必要です。この際、本人からの「委任状」を確認しましょう。その委任状には、実印の押印と印鑑証明書の添付を求めるとともに、直接本人に委任の事実を照会すべきです。

また、相続物件の売却も悩ましいケースがあります。相続が発生した場合は、相続人全員で遺産分割協議を行い、それが成立すると遺産分割協議書を作成することになります。相続物件の場合は、遺産分割協議が成立して自己の所有となった不動産を売却するのが一般的ですが、協議が成立する前の状態であっても、相続人全員を売主として売却することも可能です。遺産分割協議が整っているかどうか確認しておきましょう。

さらに、売主が認知症になってしまい、成年後見人等が行う不動産取引は極めて煩雑です。成年後見人、保佐人、補助人が、本人に代わり、本人の居住用不動産について、売却、賃貸、賃貸借の解除または抵当権の設定その他の処分を行う場合には、家庭裁判所の許可を得なければなりません。近年では、民事信託が広まってきているため、受託者が不動産取引を実行するケースもあります。

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