入るべき生命保険はどれだ?定期保険や終身保険を理解する

生命保険セールス
目次

生命保険の活用

個人のリスク

人間が生きていく上で、病気やケガのリスクは避けて通ることができません。リスクには、人的リスク、物的リスク、損害補償リスク、費用・損失リスクなどがあります。このようなリスクを保障するものが保険です。カバーするリスクの内容によって様々な保険のタイプが存在しています。

オーナー経営者のリスク

企業オーナー(会社経営者)は、個人のリスクだけでなく、会社経営に悪影響をもたらすリスクがあることを認識しておかなければなりません。

たとえば、企業オーナー・会社経営者が死亡した場合に信用力低下や営業力低下に伴う業績・資金繰りが悪化するリスクです。

また、非上場株式の相続に伴って、企業オーナーの相続人に多額の相続税が課され、自社株買いや死亡退職金支給によって、会社の資金繰りが悪化するリスクもあります。

いずれにせよ、これらのリスクをカバーするものが保険であり、生命保険と損害保険に大別されます。

生命保険の基本機能

生命保険には、死亡した場合に保険金が支払われる死亡保障機能、病気やケガによる入金日や治療費、あるいは要介護状態となったときの介護費用に対する医療・介護保障機能、子供の養育費、老後の生活費などに充てるための長期貯蓄機能、一定の年齢に達したときから年金を受け取ることのできる老後資金準備機能があります。

損害保険の基本機能

一方、損害保険の主たる機能は、火災、交通事故、生涯、賠償責任などに係る損害補償機能ですが、医療・介護補償機能、長期貯蓄機能や老後資金準備機能を併せ持った商品も販売されています。

生命保険から支払われるお金の種類

生命保険は、保険金、給付金及び年金によって構成されています。保険金とは、被保険者の死亡、高度障害、満期などのときに保険会社から受取人に支払われるお金であり、死亡保険金と満期保険金に分けられます。

死亡保険金とは、被保険者の死亡時に支払われる保険金であるのに対して、満期保険金は、被保険者が保険期間満了時に生存しているときに支払われる保険金です。

給付金とは、災害、疾病関係の契約において、被保険者が入院をしたときに支払われる入院給付金などをいいます。保険期間の途中で所定の時期に生存していた場合に支払われる生存給付金もあります。

年金保険

個人年金保険の年金は、保証期間付き終身年金と確定年金があります。

保証期間付き終身年金とは、保証期間中は生死に関係なく年金を受け取ることができ、その後は被保険者が生存している限り終身にわたって受け取ることができる年金です。これに対して、確定年金は年金支払い開始後、予め定められた期間、生死にかかわらず受け取ることができる年金です。

保険契約を解約した場合、保険会社は保険契約者に対して解約返戻金を支払うことになります。その額は保険の種類や経過年数などによって異なりますが、通常はそれまで支払った保険料の総額よりも小さくなります。

主契約と特約

保険契約は、生命保険のベースとなる主契約と、これに付加して保障内容を充実させるための特約から構成されています。

主契約は単独で契約することができるが、特約は単独で契約することができません。主契約に係る保険料と特約に係る保険料を自由に組み合わせることができるため、主契約が終身保険、特約が定期保険という「定期保険特約付き終身保険」のような商品が販売されています。

通常、定期保険は、一定年数の保険期間(10年など)ごとに区切り、その保険期間が満了した時点で、次の保険期間に自動的に更新される取扱いがあります。保険料は更新時の年齢・保険料率で再計算されるため、更新後の保険料は更新前よりも高くなります。

定期保険

定期保険とは、死亡保障を目的とした掛け捨ての保険で、保障を受けられる期間が定められたものです。つまり、保険期間の満了まで生存していた場合には、死亡保険金は支払われず、満期保険金はありません。

しかし、保険期間は一定で、その間に死亡した場合には死亡保険金を受け取ることができます。定期保険は、安い保険料で大きな保障を受けられることが大きな特徴となっています。

定期保険は、保険金額が保険期間中変わらない定額タイプが一般的ですが、保険料が一定で保険金額が減っていく「逓減定期保険」や、保険料が一定で保険金額が増えていく「逓増定期保険」もあります。

長期平準定期保険とは、定期保険の中でも特に長期の保険期間を設定するものをいう。保険期間100歳など保険期間が極端に長く、終身保険に近い死亡保障が得られます。長期平準定期保険を法人契約する場合、その解約返戻金をオーナー経営者の退職金の財源に充てることを目的とするケースが多く見られます。

長期平準定期保険と終身保険の違い

長期平準定期保険と一般的な終身保険の違いですが、(1)死亡保険金がもらえるかどうか、(2)死亡保険金の金額にあります。

終身保険の場合、解約さえしなければ保険期間は一生です。死亡保険金は必ずもらうことができます。そのため、保険金を子供に残すといったように、相続対策として利用するケースが多く見られます。

これに対して、長期平準定期保険については保険期間が長いものの、被保険者が死亡するか高度の障害状態と認定されない限りは保険金は給付されません。しかも、保険金の額は一定で変化しません。

長期平準定期保険の死亡保険金は、平均で1億円~2億円と非常に高額です。個人向けの終身保険の場合は、1,000万円前後の死亡保険金です。死亡保険金の金額が高額のため、支払保険料も年間で200万円程度と高額なものとなります。

終身保険

終身保険は保険期間が一生続き、何歳で亡くなっても保険金が支払われるという保険です。契約すれば必ず保険金が支払われることになるため、当然ながら掛け捨ての定期保険と比べると保険料は高くなります

しかし、途中解約の際にある程度返戻率の高い解約返戻金を受け取ることができるため、保障が必要ではなくなったときには、一部を解約して返戻金を受取って老後資金などに使うことができます。

終身保険の機能

終身保険は、一生涯のうちに必ず発生する支出を事前に確保するという目的に適しており、たとえば相続税や葬儀費用など、死亡時に必ず発生する支出に対する資金準備に最適な商品となります。また、老後を迎えるまでは保障を確保し、その後、年金や介護保障などに移行するような利用も効果的です。

終身保険は細分化して契約すべき

終身保険には将来的な支出に充当するという使途があるため、終身保険はまとまった金額のものではなく、ある程度細分化して契約すべきです。たとえば、死亡保険金1億円の定期保険を1本契約するのであれば、死亡保険金1,000万円の定期保険を10本契約するほうがよいでしょう(死亡保障1億円=1,000万円×10契約)。細分化することによって保険料は若干割高になるものの、複数ある契約の一部を生存中に解約することによって、突発的な支出に充てることができるようになります。

生命保険を活用した相続税対策

終身保険は、被保険者がいつ死亡しても必ず死亡保険金が支払われるため、相続対策として生命保険に加入する場合は、終身保険へ加入することが基本となります。また、終身保険は、銀行預金などと異なり、相続発生時に名義変更手続きが必要とされず、相続人の手元にすぐに現金が支払われるものです。

それゆえ、相続税の納税資金に充てることを目的として、契約者と被保険者が親、受取人が子供という個人契約が加入するケースが多く見られます。被保険者に相続が発生したときに、相続人が死亡保険金を受け取り、相続税を支払うことができるようになるからです。

また、生命保険金の非課税枠によって相続税負担の軽減させることができるため、一時払い終身保険も活用すべき商品となります。

これは、利回りは低いものの、加入時に健康状態を問わないものや、加入年齢が90歳まで可能なものなのがあるたため、高齢になってから相続対策を目的として加入するケースが多く見られます。

養老保険

養老保険は、保険期間中に死亡した場合には死亡保険金が支払われ、満期のときには死亡保険金と同額の満期保険金が支払われる商品です。

保障と貯蓄の両方の機能を備えているため、緊急資金の確保もできると同時に、老後の生活保障も可能とします。

また、養老保険は従業員の福利厚生プランとしても多く活用されている保険です。課税の繰延べを行いながら従業員退職金の原資を用意することができるため、多くの法人が活用しています。

【図 養老保険のイメージ】
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その他の保険商品

特定疾病保障保険

 

三大生活習慣病(ガン、急性心筋梗塞、脳卒中)で所定の状態になった場合、生きているうちに死亡保険金と同額の保険金を受け取ることができる保険商品である。
医療保険 病気やケガで入院したり、所定の手術を受けたりしたときに、給付金を受けることができる保険商品である。
ガン保険 ガンになった場合やガンで入院・手術をした場合などを保障する保険商品である。保障内容としては、①ガン診断給付金、②ガン入院給付金、③ガン手術給付金、④ガン死亡保険金、⑤ガン高度障害保険金などがある。
介護保険 寝たきりや認知症に寄って要介護状態となり、その期間が一定期間継続した場合に、介護年金や一時金を受け取ることが出来る保険商品である。
変額保険 有価証券投資を中心とした特別勘定で払込保険料を運用し、その実績に応じて保険金額が変動する商品である。
個人年金保険 予め定めた年齢から年金を受け取ることができる商品である。生死にかかわらず一定期間年金を受取ることができ、その後は生きている限り年金を受け取ることができる保証期間付終身年金、予め定められた期間のみ年金を受け取ることできる確定年金がある。
変額個人年金保険 有価証券投資を中心とした特別勘定で払込保険料を運用し、その実績に応じて年金や解約返戻金が増減する商品である。運用実績に応じて年金額、死亡給付金額、解約返戻金額が変動し、保険商品によっては受取り総額が払込み保険料総額を下回ることもあるため、注意を要する。
外貨建て個人年金保険 円で支払う保険料を米ドルなどの外貨に換えて運用する個人年金保険である。据え置き期間満了後に、積立金と運用益を年金ないし一時金で受け取ることが出来る。

 

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この記事を書いた人

公認会計士/税理士/宅地建物取引士/中小企業診断士/行政書士/一級ファイナンシャル・プランニング技能士/国際公認投資アナリスト(日本証券アナリスト協会認定)
平成28年経済産業省「事業承継ガイドライン委員会」委員、令和2年度日本公認会計士協会中小企業施策研究調査会「事業承継支援専門部会」委員、東京都中小企業診断士協会「事業承継支援研究会」代表幹事。
一橋大学大学院修了。監査法人にて会計監査及び財務デュー・ディリジェンス業務に従事。その後、三菱UFJ銀行ウェルスマネジメント・コンサルティング部、みずほ証券投資銀行部門、メリルリンチ日本証券プリンシパル・インベストメント部門に在籍し、中小企業の事業承継から上場企業のM&Aまで、100件を超える事業承継のアドバイスを行った。現在は税理士として相続税申告を行っている。

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