絶対に覚えよう!金融資産運用に成功するための基本原則

絶対に覚えよう!金融資産運用に成功するための基本原則

権威を信用しすぎて投資してはいけない

私が証券会社に入社した直後に、日経平均株価が史上最高値から3年で半値以下に暴落しました。その過程で、日本最高水準とされている調査機関が、何十回も「底入れ宣言」するのを目の当たりにしてきました。そこで得た教訓は、「権威を信用しすぎてはいけない」ということでした。

どんなに偉い先生や著名なエコノミストでも、予想は当たらないのが普通なのです。投資関連の書籍で売れ筋となるのは、ほとんどが将来の予測に関する内容のものです。

しかし、予測はあくまで予測であって、的中しないことの方が多く、的中しなくても書籍の著者には何の責任もないのです。毎年年始の新聞や雑誌では、各界の著名人の株式市場の予想という記事が恒例になっていますが、このような類の記事も投資の役に立ちません。

また、たまたま好成績のファンドがあっても、その成績がファンドマネージャーの実力なのか運なのか証明ができません。何年も連続して好成績を上げていたファンドが、一瞬にしてそれまでの累積利益を全て失ってしまうようなことは、運用の世界ではよくあることだからです。

複雑化する経済動向

特に最近の経済動向は、国内要因だけでなく、多くの海外要因が複雑に絡んでくるため、各要因の影響を分析して予想的中率を継続的に高く維持するのは、プロでも極めて難しいことなのです。

さらに株式市場は実体経済の先行指標となるため、経済情勢から値動きを予測することが最も困難な対象の1つなのです。「予想はよそう」と割り切った考え方も必要です。

予想に依存しすぎないようにして、コントロール可能な税金や運用コストに対する理解を深めることが、確実に実利を得る秘訣です。

最初に考えるべき資産配分

まず「資産配分」ですが、これは資産をどのような割合で投資するかということです。実は多くの投資理論の実証研究において「投資におけるパフォーマンスは、8割方資産配分で決まる」という結論が出ています。

この場合の資産配分とは、どこにお金を投資するかということですが、国内株式市場で「日立を買うか? 東芝を買うか?」という「銘柄選択」ではなく、もっと上の資産クラスの選別のことを指します。

たとえば、「日本株を買うか? 外国株を買うか? 外国債券を買うか?」といった選択のことです。「ファーストリテイリングにするか、トヨタにするか?」といった個別銘柄の選択に労力を使うよりは、「日本株にするか、外国の債券にするか?」という資産クラスの選択に労力を使った方が、運用成績に大きな影響を与えることが分かっています。

日本株式、外国株式、債券、不動産など、どの資産クラスを選ぶのかが圧倒的に重要なのです。どの資産クラスを持つかによって運用成績の8割分が決まってくるのです。

不動産を例にとると、東京都内の収益不動産を買う場合、六本木を買うか、赤坂を買うか…実はどちらでも大差がありません。東京と大阪ではどうでしょう? これも日本の不動産市況に左右されるので、大きな違いはありません。日本の不動産と米国の不動産なら違いは出てきます。同じ不動産でも日本と米国いずれを選ぶかが重要になってくるということです。

銘柄選択に力を入れても意味はない

銘柄選択に労力をかけて、日立か東芝を選んでも、結局はどちらの銘柄も市場全体の動きに連動して動くことになります。多少業績に差があっても、日本市場が上昇すれば株価は上がり、下降すれば株価は下がります。

銘柄選択によって継続的に市場平均(インデックス)を上回る運用成果を挙げることは難しいのです。これは日本市場のように、多数の市場参加者が存在し、情報が瞬時に価格に反映されるような「効率的な市場」であるほど当てはまる原理です。

事実、市場平均を上回るアクティブ運用ファンドは3~4割程度しかないのが実態で、これは日本に限らず海外でも同じような状況なのです。プロに任せても難しい世界なので、自ら個別銘柄を選んで投資しようとしてみても、数が多すぎて決めることができず、実際に投資してみても、市場に勝ち続けるのは容易なことではありません。

結論としては、個別銘柄やファンドを選ぶのにあまり労力をかけず、インデックス運用を主体にして資産配分をしっかりコントロールすることの方が、運用成績によい影響をもたらします。またインデックス運用によって無駄な運用コストが削減できるので、この分は確実に運用成果の改善につながります。

米国では、インデックス運用が個人の運用においても主流になりつつあり、その流れが日本でも起きています。例えば、日経平均やTOPIX(東証株価指数)に連動するETF(Exchange Traded Funds)だと、年間の信託報酬は今では0.08%といった低コストとなっています。ETFとは、「上場投資信託」の略称で、国内外の株式市場に上場し、株式と同じように売買できる投資信託です。

最近では東証に上場するETFが200銘柄近くになっており、売買の流動性が高いこともさることながら、個別銘柄を保有するような倒産リスクがほぼないことが大きな魅力となっています。

長期の資産運用で大きく響くコスト

販売手数料や信託報酬といった運用コストというのは実は非常にシビアに捉える必要があります。運用が長期になればなるほど、コストが運用成果に与える影響は幾何級数的に拡大するからです。

例えば、アクティブファンドでファンドマネージャーに支払うコストが1.5%だとした場合、販売手数料も含めると年間3%程度支払っていることも珍しくありません。

しかし、ほとんどの人は、コストが運用成果に与える影響について、あまり問題とは思っていません。

長期投資を前提とする場合、運用コストは収益性に無視できない影響を与えます。例えば、株式投資のリターンを年率6%として、運用に年率2%のコストがかかったと仮定すると、20年後の元本は3.2倍となるはずのところが2.2倍にしかなりません。20年間のリターンが0%の場合は、運用コストのために元本は3分の2になってしまいます。

運用コストをゼロにすることはできませんが、リターンを生まない運用コストはできる限り削減することが、パフォーマンスを確実に向上させる秘訣です。

運用コストによる成果の比較

2014年に金融庁がまとめた「金融モニタリングレポート」によれば、大手銀行の窓口で、人気の投資信託を買って10年間運用した場合の、平均的な運用成績が明らかにされています。

平均すると、投資信託の売れ筋商品を約2年の間隔で5回乗り換えることになりますが、10年間のトータルでプラス12.8%の運用成果が上がりました。しかしこれはあくまで名目の運用成果で、投資家の実際のリターンは、税金と手数料を差し引いて最終的にマイナス2.8%という結果となりました。

会社経営者や役員、医者や士業など、本業が多忙な人ほど、資産運用は大手金融機関の担当者に任せていることも多いでしょう。

しかし、名目の運用成績だけでなくコストも合わせて考えると、芳しい成績を上げられていない人の方が多いのではないでしょうか。

たとえば、外国債券型で期待リターンが2~3%であるにもかかわらず、信託報酬が1~2%となっているような投資信託を保有している方は、見直しをすべきかもしれません。

毎年のリターンの3分の1~2分の1が費用となっているからです。これから購入しようとする方は、目論見書を確認し、期待できるリターンと販売手数料・信託報酬をきちんと確認して判断する必要があります。

長期投資のパフォーマンス

過去50年の歴史の中で、日経平均の年率リターンの振れ幅(最大値・最小値)は、2008年12月のリーマンショック直後が最小で半分に、1973年1月のオイルショック直前が最大で倍になりました。1年という投資期間で見ると、振れ幅が非常に大きい瞬間があります。

ところが投資期間を5年、10年、20年と長くしていくと、年率リターンの振れ幅は徐々に小さくなり、投資期間30年ではマイナスがなくなります。

日本株は長期で見ると平均6%程度の年率リターンとなっていますが、投資期間が長くなればなるほど年率リターンの振れ幅(価格変動リスク)が小さくなり、どんどん平均リターンに近づいていきます。

バブル崩壊後25年間の日本株は、世界の歴史の中でも記録的に悪いパフォーマンスとなった時期でしたが、それでも30年我慢していればプラスになりました。

外国株式・債券などほかの資産クラスでも、投資期間が長いほどリターンの振れ幅が小さくなっています。

つまり、株式や債券への投資は、短期間では大きく変動することがありますが、長期になるほど各資産の平均的な期待リターンに近づいていく傾向があるということです。

この傾向は、「ミーン・リバージョン(平均回帰性)」と呼ばれています。各資産クラスのリターンは、長期に保有することで最終的に各資産固有の期待リターンに収れんする傾向があるのです。

各資産の過去の実績

各資産の過去の実績リターンは、債券が2~3%、株式が6~7%と、各資産のリスクに見合ったものになっています。

将来の期待リターンは、この実績リターンを基に予測モデルなどから導き出すのですが、例えばGPIF(Government Pension Investment Fund, 年金積立金管理運用独立行政法人)の中期計画の数値が参考になります。GPIFの計画では、国内株式で6.0%、外国株式では6.4%をそれぞれの期待リターンとしています。

期待リターンを実現するためには、時には長い時間を要することがあります。運が悪い場合、購入した直後から歴史的な暴落が始まり、1年や2年どころか5年や10年マイナスとなっている可能性もあります。このため投資期間は最低3年以上とし、できれば10年程度は使う予定のない余裕資金であることが望ましいのです。

実際の投資にあたっては、日本株だけでなく、外国株式・債券など資産クラスを分散して投資することによってリターンの振れ幅を小さくすることができるため、短期間で期待リターンを実現させることが可能となります。

なお長期運用を考える場合に重要なことは、個別銘柄の倒産リスクを極力小さくすることです。こうした点からETFが条件を満たしていて、固有リスクを気にかける必要がないほか、運用コストが低く必要な時にいつでも換金できることも大きなメリットです。

運用益への課税

税金の支払いはキャッシュの流出です。資産運用において、毎年必ずキャッシュの流出がある運用と、キャッシュの流出がなく複利で運用する場合のパフォーマンスの違いは、税率が高いほど、そして長期になるほど幾何級数的に影響が大きくなります。

現在日本では、有価証券投資による利益(譲渡益、配当金、利子等)に所得税が20.315%課税されます。これは申告分離課税であり、給与所得など他の収入とは別枠で一律に課せられるものです。

投資信託を例に取ると、月ごとに分配される普通分配金(元本払戻金は含まない)を受け取る場合、毎年20.315%が課税されます。分配金利回り5%の商品だとすると、実質約4%となり、運用効率が悪くなってしまいます。

このため分配金が必要ない場合は、複利運用タイプで満期時にだけ課税される商品を選んだ方が運用効率は改善します。

税金対策を考慮した運用スタイル

同様に、デイトレード、スイングトレードの場合も税金の影響を受けることになります。年間の損益通算はできるものの、毎年実現した利益に対して必ず税金を支払うことになるため、長期的には複利効果が減少する分運用成果にマイナスの影響を与えることになります。

税金については投資スタイルを変えることでコントロールが可能です。長期投資、バイ&ホールドのスタイルなら短期売買に比べて確実に税コストを削減することができ、その分パフォーマンスの改善につながります。

誰でも実践でき、かつ最も確実に効果を挙げられるのが税金対策なのです。

どんなシナリオになろうとも、富裕層にとって資産運用における最優先目標は、大きなリターンを望むのではなく「資産価値を減らさないこと」です。

以上の基本原則は、資産運用における最重要項目と心得てください。インフレになってもデフレが長期化したとしても、いずれの場合でも普遍的に適用できるものです。

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